価格交渉があった場合、どうする?②
Q:売却時に価格交渉があった場合、どうすればいい?②
不動産を売るとき、販売価格は決まっているけれど、その後、購入希望者様(買主様)のほうから価格交渉が入るケースがあります。ほとんどの場合、売主様が提示した販売価格に対して、「〇〇万円にまけてください」と指値=価格交渉を入れた金額で言ってきます。そのような場合、売主側としてはどう対処するべきなのでしょうか。
売り出し開始から3カ月以内での申し込みの場合
売り出し開始から1カ月程度経過して3ヶ月以内に申し込みが入る。これが一番多いケースです。査定がきちんとなされており、売り出し価格の設定が適正なら、この間に申し込みが多く入ってきます。また、この“3カ月”のラインは重要です。不動産会社としては、専属媒介契約・専属専任媒介契約が3カ月単位のため、この間に決まらないと他の不動産会社に切り替えられる可能性が出てきます。
また、今は皆、インターネットで不動産を探しますから、気になる物件は頻繁にチェックしているもの。そのため、3カ月以上経ってしまうと「この不動産、もう結構長いこと売り出し中だよね」というマイナスのイメージが出てきて、なんとなく、売れ残っている雰囲気になってしまうからです。
つまり、3カ月以内は話をまとめるべきラインになります。2,980万円で売り出した物件を、「2,900万円で買いたい」と申し込みが来たなら、迷わず受けるべきでしょう。あるいは、100万円引きとなる「2,880万円で」のオファーがくるかもしれません。正直なところ、2880万円なら、たとえば「住宅ローンの残債があり、価格は下げられない」など、よほどの理由がない限り、話をまとめてしまったほうが得策です。
3カ月の節目を迎えると、媒介契約を更新するにしても、別の不動産会社に依頼するにしても、「販売価格を100万値下げしましょう」という話が出てくることは明らか。そして、値下げした価格からさらにもう一声、価格交渉が来た場合(ほとんどの場合で価格交渉は来ると思います)、着地点はさらに低い金額になってしまいます。
したがって、売主様としては「損して得とれ」で、せっかく3カ月以内で話が来たなら、まとめてしまった方がいいわけです。もちろん、なかなか首を縦に振らない売主様もいます。そこはもう完全に売主様の判断次第です。
機会を生かし、3カ月以内で話をまとめるのが得策
私のこれまでの経験から言えば、3カ月を過ぎると長期戦になりがちで、結果としてもっと安い価格で売らざるを得なくなってしまうことが多いんです。売り出し期間が3カ月を超えてくると、結局、話がまとまるのに半年くらいかかってしまうことが少なくありません。それなら、初期段階で「欲しい」と言ってくれる人が現れたなら、価格交渉に応じて、話をまとめてしまった方が結果的には得をします。
①でもお話ししたように、価格交渉は1回のやりとりでまとめるのがセオリーです。たとえば、買主様が「もうひと声、10万円引いて」と言ってくるケースが稀にあります。これに売主様は気分を害してしまい、感情的になって、まとまるはずの話がまとまらないことも。こうしたケースを避けるためにも、間に立つ不動産会社には経験と気配りが求められます。
身もふたもない話をしますが、不動産会社にしてみれば、2,950万円で話をまとめようが、2,900万円で話をまとめようが、収入(仲介手数料の金額)に大きな違いはありません。そのため、極端な金額でない限り、価格交渉に対するこだわりは、それほどないんです。一方、お客様としては、10万円は小さな金額ではないため、不動産会社との間には感覚のずれが生じます。特に、大手の営業マンにその傾向が顕著です。
個人間の売買はとてもデリケートな作業です。「売主のほうが偉い」とよく勘違いしている売主様がいらっしゃいますが、住宅ローンが組めれば買主様とは対等の立場になります。対等であることをきちんと理解して、お互い、気持ちよく取引してもらいたいもの。それを実現するためにも、不動産会社選びは重要です。
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