価格交渉があった場合、どうする?①
Q:売却時に価格交渉があった場合、どうすればいい?①
不動産を売るとき、販売価格は決まっているけれど、その後、購入希望者様(買主様)のほうから価格交渉が入るケースがあります。ほとんどの場合、売主様が提示した販売価格に対して、「〇〇万円にまけてください」と指値=価格交渉を入れた金額で言ってきます。そのような場合、売主側としてはどう対処するべきなのでしょうか。
売り出し開始から1カ月以内での申し込みの場合
価格交渉が入るのは3つのパターンがあります。ひとつは、不動産の売り出し開始から1カ月以内で申し込みがあり、価格交渉の話が来た場合です。ふたつめは、売り出し開始から2カ月目〜3カ月目で話が来た場合です。専任契約が3カ月単位なので、最初の契約期間内ということになります。もうひとつは、一度、専任媒介契約を更新した後、3カ月以上決まらず、売り出し期間が半年に及ぶなど、長くなった場合。便宜上、この3つのパターンに分けて考えることとします。
まず、最初のケースから見ていきましょう。売り出し開始からすぐに反響があり、購入希望のお客様を物件にご案内して、すぐに買い付けの申し込みが入るという、売主様にとっても、担当の不動産会社にとってもまたとないケースと言えます。
たとえば、物件を2,980万で売り出したとしましょう。購入希望のお客様から「2,900万円で買いたい」とお申し込みをいただきました。これは一番よくあるケースです。要は、「80万円まけてください」ということですね。
売主様から物件をお預かりするとき、不動産会社としては最初から価格交渉が来ることを念頭に置いています。そのため、100万円程度高めに価格を設定して売り出すのが普通です。つまり、この場合、80万円なら想定の範囲内なので、即OKして、「2,900万円でいいですよ」と話をまとめるのがひとつのケースになります。もちろん、価格交渉を想定した上乗せは売主様も合意の上。価格交渉は、来て当たり前なので、事前に打ち合わせているのが普通だからです。
また、たとえば、売りに出してから間がないので、「こちらの売り出し価格と、購入希望のお客様の希望価格の間を取って、2,940万でいかがでしょう?」という話も可能です。あるいは、売りに出したばかりのため、まだ1円もまけたくないので、「2,980万円でお願いします」と返すこともあります。
価格交渉は1回でまとめることが大切
個人のお客様同士の売買(個人間売買)では、価格交渉が来た場合、1回のやりとりでまとめることが大切です。売主様と買主様がお互いのことを「お金にセコい」なんて思いはじめてしまうと、まとまるものもまとまりません。業者同士のやりとりと違って、デリケートなんですね。
もちろん、いくらで回答するかは売主様の自由です。この、売り出し直後に申し込みが来たケースでは、売却理由にもよりますが、80万円程度の価格交渉なら、常識の範囲内なので受けていいと思います。これまでの経験から言えば、一番多いのは「売り出してから間がないので、できればまけたくない。間をとって2,940円で」という返答です。つまり、このケースでは、「価格交渉には応じない」、あるいは「少しなら引いてあげます」という返答がベターと言えます。
不動産の購入では、ほとんどの買主様がローンを組みます。そのため、価格交渉をしても月々の支払額の差は微々たるもの。買主様サイドの不動産会社には、価格交渉より、ローンの方を頑張ってもらったほうが、長い目で見ればありがたいはずです。
一方、売主様にとっては収入が露骨に変わりますから、あまり気持ちのいいものではありませんよね。売主様としては10万円でも少ない金額ではありません。ところが、私たち不動産業界の者たちは「80万まけてください」「100万まけて」と簡単に言います。おかしな話です。これは扱う金額が大きいがゆえの、昔からの慣習のようなもの。高額の取引に慣れすぎてしまっているんです。そのため、「10万円刻みが当たり前」がそのままになっているのです。
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